「コロコロ場外応援団」が泣けると思ったらそうでもなかった話
久しぶり、コロコロコミック
絶体絶命でんぢゃらすじーさん 第1巻 (てんとう虫コミックス)
- 作者: 曽山一寿
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/08/28
- メディア: コミック
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コロコロコミックの新しい楽しみ方を発見した…
「コロコロ場外応援団」を見て、感慨に浸ることである。
小学館の採用試験にぼろ落ちした身(これは結構よくいるタイプの就活生らしい)だけど、企業研究のために読んだコロコロコミックのこの「コロコロ場外応援団」はなかなかどうして癒されるのである。知らない人のために説明しておくと、漫画のページの下のほうに子供のつたない字で「でんぢゃらすじーさんオモロすぎ!!!!!」とか「ケシカスくんサイコーーーーー!!!!!」とか応援コメントが書かれているアレである。
参照:「くろもり屋 2009年12月27日 心からそう思ってるなら良いけど 」 http://blog.livedoor.jp/weapon_lo/archives/2009-12-27.html
なんかこれ超かわいいなと思って。
そもそも男の子のつたない字フェチみたいなのがあるんですよね。バリバリ働いてるくせに字だけ小学生みたいなサラリーマンっているじゃないですか。もうパソコンで仕事するようになってるから普段はわかりづらいけれど、ふとしたときに手書き文字を見てそれが超下手だったときに「あらやだかわいい」ってなるややキモい嗜好の持ち主なんですね、わたし。
なんかそういう成長しまくりなキャリアに対して、時間が止まってるかのようなつたない字。ああ、このひともドラゴン模様のお裁縫箱とか使ったり、「俺バーサス○○」とか言ったり、「無限バリアー」とか「追尾ミサイル」とか言ったり、何かと提示条件として「百万円」を出したりしていたんだろうなあってほっこりしてしまうんですね。
そしてこの「コロコロ場外応援団」にしこしこと応募しているキッズのみなさんは、まさに今そういう時期を過ごしているんですよね。今でもバリア張ったり、「知ーらんぺったんごーりーら」とか言ったりするんでしょうか。とっても尊いですね。
そんな小学生ライフを謳歌している彼らが、わざわざつたない字ではがきを送ってまで作品へのまっすぐな愛を伝えているということにグッと来てしまう。うちの父が「子供の歌声聞くと無条件に涙が出てくるから危険」て言ってて、「年取りたくねー」と思ってたけど、いままさに子供の字を見るとちょっと泣きそうになるという症状に見舞われているわけです。漫画家も、編集者もこういうのが本当にうれしいんだろうなって想像して、ひとり勝手に感慨に浸っていたんです。
そしてその昔コロコロラバーだった兄に、「コロコロ場外応援団」について聞いてみました。
「あれかわいくない?わざわざはがき出して作品愛を伝えてるなんてかわいすぎない?」と興奮気味にまくしたてるわたしに対し、ショッキングな返答をする兄。
「ああ、プレゼントほしさに書いたなあ。」
良く知らなかったんですが、プレゼントはがきに「コロコロ場外応援団」用の欄があるみたいです。兄は当時はやってた作品をチョイスして「ペン問サイコー!!!」と書いたらしい。
なんと、あの「コロコロ場外応援団」は純粋な作品愛によってではなくて、「なんかプレゼントほしいからついでに書いてやっか。ちょっと良く書けばもしかしてひいきしてもらえるかも」というキッズたちのややゲンキンな思惑のもとに書かれたものだったんですね。
もしくは先ほど参照したブログ
http://blog.livedoor.jp/weapon_lo/archives/2049948.html#more
では当時はやっていたらしい世界のナベアツのギャグ「オモロー」を使って目立とうとする子供たちが多発している状況が見受けられますが、こういうふうに大喜利感覚で「コロコロ場外応援団」を使っているキッズのみなさんも多いのかもしれません。小学校生活において、笑いの感覚を共有するのってとても大事なことですよね。だから、コロコロコミックみたいな皆で読める漫画雑誌って、一種の社会的ツールみたいに機能するんです。そんななかで「コロコロ場外応援団」に掲載されたら、ちょっとそれだけで自慢できますから、まあこぞって応募するでしょう。
「純粋な作品愛はないんかい!!」と一瞬がっかりしてしまいましたが、むしろ逆に小学生はこうでなくっちゃねとも思えてきました。(すみません、うちの兄がゲンキンなガキだっただけで、ピュアな子もいるかもしれませんね)
そもそも、子供のやることなすこと都合よく解釈して感動のネタにするなんてただのエゴですから。
今せっせと「コロコロ場外応援団」を書いているキッズのみなさんは、もう何年もすればコロコロコミックを卒業するでしょう。今よりもっとゲンキンになって、世間擦れして、大人になっても、心のどこかはプププランドにあってほしいものです。そしてわたしにつたない字を見せてほしいものです。