KREVA
なんだか朝起きたら「今日イケるぞ」という気分になって、思わず口ずさんでしまった。
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一体誰がなるの この場のキャプテン?
みんな声掛け合って上がる作戦で
Alright 行こう C'mon C'mon Let's go Let's go
ハンドクラップまでして、KREVAのこの曲を口ずさんでしまい、突如としてそのポジティブすぎる歌詞に照れてしまった。そしてこれはギャグだなと思った。鏡を見ると、寝不足がたたって例の動画の松居一代みたいな凄みのある顔になっていた。こんな顔でポジティブなことを言うのはもの凄くハイクラスなギャグである。
大好きな「真顔日記」というブログで、「ポジティブな言葉に対して乙女な反応をしてしまう」ということが書かれていたけどまさにそんな感じである。
しかしやはりある程度ポジティブを摂取しないと人は死に至る。わたしにとって今のところポジティブとはアウトプットするものではなく、ひっそりと摂取するものだ。KREVAを聴くということも、あえて「KREVAを摂取する」と言いたい。
marple-hana1026.hatenablog.com
この記事で、「ナルシストは人を元気にする」ということを書き、イチ推しのアーティストを紹介したがKREVAもまたそういった種類のアーティストなのだ。しかもナルシストなだけでなく、超ポジティブである。そして自己陶酔するのみならず、こちら側への心理的な働きかけも多い。ポジティブナルシスト芸人というか、ファンを元気にするために生まれたポジティブアスリートというか。
ヒップホップにおける「自信」って、他のアーティストにしてみればスキル的なことが多くを占めるのではないかと思うけど、KREVAは自分の存在そのものに自信を持っている感じがいい。それはすごいことだ。というのも、KREVAが活躍し始めた時代においては、日本語ラップという音楽ジャンルのなかで確固たる自信をもつということは極めて難しいことであったのだ。
日本語ラップの歴史は「恥の意識」とともにあった。アメリカで確立されたヒップホップを日本語に落とし込むことはほとんど手探りで、「そんなこと出来るわけない」とか「御託ならべてダサい」という批判に常にさらされてきた。そうしたなかで、自信をもって独自のラップを披露するということがどんなに強いハートを要したか。

この時代のバトルを見て、「今と比べてしょぼい」と言う人がいるが、この人たちなしには今のラップもない。
日本語ラップを最初にやったのは誰かという話題になると、「いとうせいこうだよ」とか「いやいや、キングギドラだよ」とか「吉幾三(IKZO)だべ」とか様々な意見がある。しかし、初めてそうした界隈で「スター性」を獲得したのはKREVAだと思っている。セールスもあるし、しっかりと自分のキャラを広く認知させている。(KREVAはバトル漫画だったら、普段はキザでナルシストで女ったらしだけどいざというときは仲間のために命をかけて戦う系。そして昔亡くした最愛の女をめぐるスピンオフがあったりする。そんな感じのキャラだと思う。たまにアンサーでディスるときは、トランプで戦うつかみどころのない敵キャラみたいになる。)
かなり流行った「音色」
日本語ラップにおける「恥の意識」をやすやすと乗り越え、カリスマ性を身に着けたKREVA。しかもちゃんと曲も売れる。彼はそうして自信をどんどん増幅させていき、そのポジティブの火種をリスナーに分け与えてきた。もはや慈善事業かというくらいに。みんなKREVAを摂取して、今日まで生きながらえてきたのだ。
皆さんにもKREVAのナルシスト成分、およびポジティブを摂取してもらうために、ちょっと曲紹介。
【ナルシスト】
Dr.K
高学歴高収入高身長3高 参考程度 もういいよっつうぐらい
客を集めるまるで観光名所作詞:KREVA 作曲:KREVA http://j-lyric.net/artist/a00eecd/l002e19.html
KREVAさんは慶応大学出身、身長178cm、昼飯代は200万円です。
王者の休日

よく言われます(かっこいい)
二度見+1で(三度見)
なんて事まである
減らねえんだ 俺のコスプレやモノマネが
今日は俺が俺の味方
広い世界 ただ一人になろうが
オレは決めた
そうだアグレッシブ作詞:KREVA 作曲:KREVA http://j-lyric.net/artist/a00eecd/l00a07a.html
この主人公感たるや。ギリギリ滑ってそうなタイトルなのに、心をもってかれる。強制ポジティブ。
成功
お前の成功は俺の成功 俺の成功はどう?
もしそうならそりゃ最高
行けるとこまでどこまでも行こう作詞:KREVA 作曲:KREVA http://j-lyric.net/artist/a00eecd/l015e3f.html
めまいするほどポジティブな歌詞。個人的にこのトラックが、KREVAの中で1、2を争うくらい好き。
ホントは後悔しないよう 君にぶちまけたいのさ何もかも
でもしない何も 幸せを祈るだけ
言うことはもうない何も もうというよりもともとないのかも
そうだ第2章を今ここで始めよう スタート
作詞:KREVA 作曲:KREVA http://j-lyric.net/artist/a00eecd/l0053c7.html
失恋ソングでさえポジティブ。
【おまけ】
ファンサービスがたっぷりなKREVAさん。

なにこの楽しい人。「ギラギラのラップスター」って言うところがほんとにギラギラしてて笑う。
彼の内面が実際はどうであるかはどうだっていい。キャラとして「ポジティブナルシスト」が成立していて、それによって励まされるたくさんのファンがいるということ、かけがえのないことだ。
おわりに
こうして自分の中でKREVAブームをひっそりと迎えていたタイミングで、岡村靖幸とKICK THE CAN CREWのコラボ曲が出されていて勝手に運命を感じた。しばらくはKREVAを摂取し続けることになりそうだ。致死量を超えないように気をつけたい。

住所 feat. 岡村靖幸(初回限定盤:Single CD + CD)
- アーティスト: KICK THE CAN CREW
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2018/08/29
- メディア: CD
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一体何十年たてば、KREVAを歌うに足るポジティブ人間になれるだろうか。粉っぽいばあさんになってから、KREVAを爆音で流して歌い踊るのもいいかもしれない。