ニートにハーブティーは要らない

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下ネタのセンスがコロコロコミックレベルで止まっている家族

 

コロコロコミック 2018年 09 月号 [雑誌]

コロコロコミック 2018年 09 月号 [雑誌]

 

 

 家族×下ネタって結構吐き気のする組み合わせだと思う。それにしてもうちの家族は下ネタのレベルが低すぎる。うんこだのオナラだのはかなり積極的に口にするのに、大人系の下ネタとはほとんど縁がない。

 

 煙草を吸いに外に出た兄が、秒で戻ってきて「うんこうんこ」と言いながらトイレに駆け込む(兄曰く、煙草は便意を促進するらしい)。それを見た飼い猫が、なぜか真似してちいさな猫用トイレに走っていく。風呂場からは「ち○ぽ痒い~」と言いながら、ゆでだこのようになった父が出てくる。母は家族の誰かがオナラをしたときに空気清浄機よりはやく反応して、「こいつオナラしたぞ」と騒ぐ。わたしはオナラの罪を兄に擦り付ける。

 

 こんなふうに、品性を欠いた人間が四人と猫一匹が集まっているのがわたしの生まれ育った家だ。

 自分で書いておいてアレだけど、きったねえなと思う。

 

 おもしろいのは、普段はこれほど恥もクソもないような雰囲気なのに、テレビなどでちょっと大人系の下ネタが流れると場が凍ることだ。うんこやち○ち○がウケるコロコロコミックの世界のようである。

 

 大人な下ネタといってもたいしたことなくて、夜の9時あたりなら流せそうな感じだ。

 

 昔森三中の黒沢が、ダウンタウンの松本のためにアワビを調理して食べさせるみたいな番組があった。そのアワビが黒くてしなびててひどく不味そうだったのを、さまぁ~ずの三村が「黒沢のアワビ黒すぎかよ!」みたいにツッコんで、笑いが起こっていた。うちのお茶の間は凍っていた。それまでキャッキャ言いながら見ていたのに、それぞれ唐突にキッチンに果物を取りに行ったり、猫をもてあそびはじめたり、爪を切りだしたりするのだ。そして大人な下ネタゾーンが終わったと判断すると、ゆるやかに視聴に戻っていく。

 

 

 インリン・オブ・ジョイトイなんて、我が家の気まずさ生成要因でしかなかった。M字開脚なんてとんでもなかった。わたしの年齢オブジョイトイという名前は、酔っぱらった友達の聞き間違いに由来していて、とくに実家には関係ないけど。

 

 インリン・オブ・ジョイトイがいなくなって数年後には壇蜜が出てきてしまった。父がひそかに壇蜜を気に入っていることには感づいていたけど、あえて指摘はしなかった。壇蜜を明らかに気に入っているくせに、息を止めているのかというくらいに静かに視聴するからとても過ごしづらかった。「壇蜜たまんねえなあ」くらいのことを軽々言うオヤジだったら、もう少し楽だったかもしれない。

 

 そんな我が家にある日事件が起きた。

 父と母が神妙な面持ちで話し合っていた。

 

 父の部屋にあった『課長島耕作』が荒らされていたというのだ。

 

 『課長島耕作』は、エリートサラリーマン島耕作が主に女と寝たり女と別れたりしながら順調に出世していく名作漫画である。

 

diary.uedakeita.net

 

 1巻からさっそく、島耕作の運命の女である大町久美子が登場し、2ページぶちぬきでファックシーンが載っている。しかも隅っこのほうに、申し訳なさ程度にオシャレな英語のポエムが書いてあるのが味だった。そんな調子で、どの巻も適当にページをめくれば裸体が見つかるので、コロコロコミック的な我が家としては黙殺しておきたい代物であった。そんな危険物を、父は大事に部屋に保管していたのだ。そしてそれが何者か(当然のごとく、思春期を迎えていた兄)によって荒らされていたのだから、心穏やかではない。

 

 父は「人の部屋に勝手に入るな」と、兄に遠回しな指摘をした。間違っても「島耕作のエッチなシーンを読むな」とは言わなかった。兄も父の真意をくみ取ったようで、妙にしんみりとその言葉を受け取っていた。

 

 わたしは言えなかった。自分も『島耕作』を読んでいたと。漫画を元の位置に戻さずに、発覚の原因を作ってしまったのはもしかしたらわたしの方かもしれなかった。それにもかかわらず兄にすべての罪を擦りつけ、コロコロコミックのような無邪気さを演じ続けていた。

 

 今でも『課長島耕作』を見るとほんのりうしろめたい気持ちになる。『少年の日の思い出』のごとく。