ニートにハーブティーは要らない

ニートにハーブティーは要らない

ガバガバのブログです

おまえが盆栽を買った日

f:id:marple-hana1026:20190201215322j:plain

京都旅行に行ったときの「苔」

昨日、彼氏がちいさなちいさな盆栽を買った。

てのひらに乗るくらいの丸い器に土が入っていて、その表面を苔がぽこぽこと覆っている。そこから、小さくて華奢な松が見事な昇り龍を描いて突き出している。よく見ると、小指の爪くらいの大きさの松ぼっくりがふたつみっつ実っていて、葉っぱには艶がある。

 

めまいのするほど愛くるしい盆栽だった。

 

先に見つけたわたしは立ち尽くして盆栽を眺めていた。

続いて気づいた彼氏が、雷に打たれたように動かなくなった。「ぽつねん」という感じに立ち尽くしていた。

そこから五分くらい黙って盆栽を見つめ、切羽詰まった声で「買っちゃうかも……」と言い、またしばらく見つめ、「買っちゃう?……かも……」と言った。そこから何回か「買いなさいよ」とわたしが説得して、「やむを得ない……」みたいな顔をしてレジに持って行った。

 

わたしはというと、連れがいい買い物をしたことが心から嬉しく、その場でサンバなど踊りたい気分だった。余計なお世話かもしれないけど、友達の少ない彼に、あたらしい友達ができたような気もした。そのちいさな盆栽は、ちいさくて華奢なくせにうねり具合が獰猛で、生命力がみなぎっていて、それでいて話のわかりそうな繊細さもあった。

 

人間と人間の間のコミュニケーションも、相手の思ったことをそのままわかることができるわけでもないし、常に気持ちが一方通行になるばかりなので、それだったらモノと友情を築いたっていいんじゃないかという変な考えを持ってしまうことがある。彼の買った盆栽は、素晴らしくその期待に応えてくれそうに見えた。

 

変な考えだとはわかっていても、どうしても言ってみたくなって「ひょっとしたらモノとも友情築けるんじゃない?」と彼に聞いてみた。するとしばらく黙り「きっと無理だが愛情ならいくらでも注げるんじゃないかな」といいことを言うので、その日はいつもの三倍くらいかっこよく見えた。そういえばスタイルも良かった。

 

明日は花と一輪挿しを買いに行こうと思う。