ニートにハーブティーは要らない

たとえばキウイフルーツをクレソンで和えるようなこと

f:id:marple-hana1026:20191128215437j:plain 
 

 他人がごくごく日常的にやっている、思いも寄らない食材の組み合わせを知るのが好きだ。

 好きな料理系youtuberは、夏のおみそ汁にすだちの輪切りをたくさん浮かべていた。そして椎茸とアボカドをお醤油で香ばしくソテーしていた。こういう自分では思いつかない組み合わせを知るとき、心底楽しくなる。スーパーに行こう、と思う。

 ベッドのそばに、サイドテーブル代わりに小さな棚を置いていて、そこには料理の本が入っている。それはわたしなりに、斬新な食材の組み合わせを教えてくれる本をきちんとセレクトしている。これらを枕元から手の届く位置に置いているのは、寝る前に読むから。なるべくあかるい気持ちで眠りに入るためのささやかな工夫である。

 なかでも思い入れが深いのはこんな本。

『伝言レシピ』シリーズ(3冊ある)
https://www.amazon.co.jp/dp/4838716664/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_mj83Db2BK1EWR
 好きだったクウネルの連載がまとまった本。フードスタイリストの高橋みどりさんが周囲の食い道楽な人に伝言で教えてもらった、「おそらく自分しかやってないだろう」というレシピの数々。
 フライパンにトマトの輪切りを並べて火を入れて、その上に卵を落として半熟に仕上げる「ウエボスフラメンカ」なる料理。熱々のジュワジュワのところに粗い塩をふって、ガリガリのフランスパンにのせて食べるとおいしい。
 あとはすりおろしたにんじんと、にんにく、ヨーグルトと塩で鶏もも肉を煮込む「ヨーグルトチキン」。材料はシンプルなのに、本格インド料理みたいな複雑なうま味。
 ほかにも梅干しとオリーブオイルを使う「切り干し大根のマリネ」や、椎茸と植物性クリームでつくる「椎茸クリームパスタ」、ほぼ豆もやしとコチュジャンだけの「豆もやしごはん」など思い出深い。シリーズ3作、存分にわくわくさせてくれた。

『バーの主人がこっそり教える味なつまみ』
https://www.amazon.co.jp/dp/4388060577/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_8j83DbBEEGYRG
 家でお酒を飲むときは、人に気を遣わなくていいので攻めたおつまみを食べたい。まず「味なつまみ」という表現がすでにご機嫌だ。しかもこっそり教えてくれるのだ、攻めたやつを。
 びっくりしたのは「カレー粉バナナ」なるものだ。バターを溶かしたフライパンで、バナナをきび糖でカリッとソテーしてカレー粉をふる。洋酒を散らして完成。この本を書いた間口さんという人の店はハイボールが絶品らしい。銀座にあるが気取らない空間だというその店を想像しながら、自分で作ったへたなハイボールと一緒に小さなフォークで食べる。あまからスパイシー、金色の味がする。
 あと気に入ったのは、キウイフルーツにクレソンを添えるだけのサラダ。ほろ苦いクレソンと酸っぱいキウイ。しょっぱい、甘い、以外の選択肢を得ると人は豊かになる。

 こんな本を読み、自分でいろいろ試しながら楽しく暮らしている。

 ところで、最近知り合った人に「甘い具のないカレーにタバスコをドバドバかけて食べるの、たまに無性にやりたくなるんです」と言ったら「最高ですね」と言ってくれてとてもうれしかった。本当はもっと教えたい組み合わせはたくさんある。スーパーで売ってる安くて変な色のペラペラのビアソーセージでザク切りしたパクチーを巻いて、レモン汁たっぷり付けて、ホワイトビールで流し込むのなかなかいいよ。逆に言えば、他の人がやってる食べ方飲み方をもっと教えて欲しい。

 人から聞いた食材の組み合わせを試してみることは他人の生きた時間を飲み込むことでもあるのかなと思う。だから試してみておいしかったときに、あんなにうれしいのかも。

 今日も、食べものを脳内で泳がせながら幸せな眠りにつくことにします。